その8 御柱祭(2)
〈 目途梃(めどてこ) 〉
平成22年寅年の御柱の本見立てが終わり、上社では、来年2月に行われる御柱抽籤式を待つことになります。今の時期は、氏子総代が決まり、梃子(てこ)・元綱(もとづな)・ご幣持ち・旗持ち・目途梃(めどてこ)などの役割を決めます。目途梃は、上社の御柱にだけある二本の角のようなものです。
そこに7人も8人も乗るものですからよく目立ち、なるべく高い位置に乗りたいのが諏訪の男気。体を鍛え、カッコよく御柱をやりたいために、節制に努め、心身を鍛えて本番に備えています。もちろん、危険防止にもなります。
このように上社の御柱は、目途梃に若者が乗り、左右に揺らしながら曳行します。その理由は、上社の御柱は、伐採直後の水分を含んだ重量のある木を使用するため、また、八ヶ岳裾野の早春の道は、ぬかるんでいて(現在は舗装道路)喰い込むためとも言われています。御柱祭における曳行や統率は梃(てこ)や木遣りなどの原始的な道具を使っていることから、その歴史は縄文時代にまで遡ると言われています。
※この原稿は平成22年に掲載されたものです。