その3 八ヶ岳の民話「富士山と八ヶ岳」
昔々、富士山と八ヶ岳が雲の上で言い争いをしました。
「私が一番高い!」「いや、俺の方こそ一番高い!」決着がつきません。
そこで、二人は天の神様に立ちあってもらってどちらが高いか決めてもらうことにしました。天の神様は、二人の頭に樋をかけ、水を流しました。水は、全部富士山の方に流れてしまって、八ヶ岳が高いことがわかりました。
ところが負けたことに怒った富士山は、片足を上げて、八ヶ岳の頭を思いっきり蹴飛ばしたのです。八ヶ岳の頭は、ガラガラと崩れ、ギザギザになってしまいました。八ヶ岳は悔しくて、悲しくて泣き通しました。隣の妹の蓼科山が慰めるのですが、どうしても泣きやみません。とうとう蓼科山も八ヶ岳がかわいそうで、何日も、何日も一緒に泣き続け、涙が流れたまって、諏訪湖になりました。
しばらくするとディラボッチという大男が、かわいそうな八ヶ岳を見て助けてあげようとします。ディラボッチは、諏訪湖の土をすくい、幾度も八ヶ岳を修復し始めたのですが、だんだん疲れてきました。おまけに天秤棒が折れてしまったのです。天秤棒を探しに歩いたのですがなかなか見つからず、粟沢村でようやく天秤棒を見つけることができました。さっそく土の入ったモッコを担ごうとしたのですが、今度はどうしても 持ち上げることができません。とうとうディラボッチは、大きな土の山を粟沢村に置いてどこかに行ってしまいました。